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  • 2019.03.04 Monday

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    種の輪

    • 2017.09.03 Sunday
    • 21:34
    この子は破壊

    この子は創造

    この子は愚か

    この子は知恵

    この子は遊興

    この子は修行

    この子は真理

    この子は夢幻

    この子は諍い

    この子は調和

    この子は孤独

    この子は絆

    生まれる前に 体の芯に植えられた

    取り出す事のできない種を

    その成長に翻弄されて生きている

    大きな大きな輪の中で

    みな寂しさに震えながら

    己が種の役割を果たさんが為生きている

    ああ 愛と言うものが

    その輪を構成しているのでなければ

    種を抱えた我々は一体何を求めていけば良いのだろう


    思春期

    • 2017.08.12 Saturday
    • 17:47
    ああ もうどうして

    なぜ差し出したものに手をつけないの

    手を変え品を変え

    食べやすいように努めても

    まるで腹の空かないロボットみたいに

    透明ななりでそこに居る

    それなのに

    眠りの中や家事の合間に

    背中の方からやって来て

    私の骨を盗んでいく

    骨に付いてる僅かな肉を

    お前は泣きながら食んでいる

    欲しくないのに腹が空く

    仕方なくお前は私の背中から骨を取る

    次の日にはまた透明なロボットの顔で起きている

    骨も肉も惜しくは無いが

    なんと思春期とは恐ろしい

    ああ もうどうして

    背中の穴が塞がらない


    • 2017.07.30 Sunday
    • 00:43
    老爺が死んだ

    ボロボロの衣服とすり切れたサンダルで

    痩せさらばえた赤銅色の体を 路に投げ出して死んだ

    体以外は何も無く 瞳はかたく閉じていた

    老婆が側で祈っている

    小さな体を鞠のように丸め 不思議な言葉で祈っている

    大丈夫 これで彼女に逢える
    四十年と少しばかり経ったけれど
    あの人はきっと 昔のように美しい

    周りの人には分からぬ言葉で 延々老爺に語りかける

    そしてそれから独りごちる

    あんたはいいじゃないか
    あっちに待ってる人がいるもの
    私には誰もいやしない
    こっちでもあっちでも 誰も待ってなんかない

    それから老婆は胸元から 一輪花を取り出した

    老爺は花を握らされ 老婆はゆっくり立ち上がる

    猫が一匹寄ってくる

    もうすぐ夜がやってくる

    老婆はゆっくり歩き出す

    まだパンは残っていたかと思いながら


    きれいなだけでは駄目なんだ

    • 2017.07.13 Thursday
    • 23:41
    ごめん 息子よ
    母はもう きれいなだけでは駄目なんだ

    年を取らない女
    毛を毟られた男
    閉じ込められた子供
    嫌われた幾多の匂い

    いつもの横断歩道で
    電灯の脇に生えていた雑草がさ
    昨日見たら無かったの
    ああ 誰かが手入れをしてるんだって
    感心もして でも一方で母はさ
    雑草の気持ちになってしまって
    青にはなったけど 渡りそこねてしまったよ

    きれいはきれい
    悪くはないよ
    でもそれだけでは駄目なんだ

    いぼでもシミでも汚れでも
    何かしら胸を突くような
    歴史や時間が見たいんだ

    きれいなだけでは駄目なんだ



    泣く

    • 2016.10.22 Saturday
    • 18:06
    大きな大きな声をあげて

    お前は泣く

    何を尋ねても 首を振るばかりで

    わんわんと泣き続ける

    大好きなおもちゃも

    好物のお菓子を差し出しても

    一向に泣き止まない

    時間はどんどん迫ってきて

    おかあさん 仕事に行かなくちゃならないのよ

    そう言って抱きしめても

    お前は手足をばたつかせ

    両の目からどこまでも透き通った涙が

    尽きることなくこぼれていく

    結局一緒になって

    二人で泣いた

    わんわん泣いた

    私は今のまま くだびれたおばさんなのに
    あの子はまだ小学校へ上がったばかりのような幼い子供だった

    目が覚めたら 本当に泣いていた

    女として

    • 2016.10.15 Saturday
    • 18:01
    私達は生まれ

    育ち

    恋をして

    つがい

    また産む

    何千年も前からその繰り返し

    たったそれだけのことなのに

    後から後から理由をつけて

    初めにはなかった意味付けをして

    今や全く複雑な

    こんがらがった毛糸のようだ

    世間様の言うことなんて

    あっちとこっちに振り子が揺れるように無責任

    私はただ

    男で楽をするつもりもなければ

    男で苦労するつもりもない

    それだけだ


    約束

    • 2016.09.28 Wednesday
    • 23:47

    約束を守ることだけが

    大事なことじゃないのよね

    そりゃあ守るに越したことはないけれど

    何かあなたにお願いした時

    その時に

    それを叶えてやろうって

    そう思っていたんだなって

    指切りしたりもいいかもね

    だって明日はどうなることか

    順当にやってくるのかさえ分からないのに

    守るか守らないかより

    約束だよという声が

    大事なこともあるのよね

    水を下さい

    • 2016.09.21 Wednesday
    • 18:52
    水、というものは

    上から下へと流れます

    あなたが喉が渇いたとして

    上から下へと水が流れていたなら

    上を向いて 大きく口を開ければいいのです

    もういらないと思ったのなら

    口を閉じるなり 水のかからない所へ避難して下さい

    けれども水が横にしかなかったなら

    少々工夫が必要です

    何せ水は形を成しません

    誰かにあげる時も同じです

    何がしかの容れ物やホースみたいに

    遠くへ飛ばせるものが必要です

    その人がどれだけ水が欲しいかも大切なことです

    コップ一杯で十分なのに バケツいっぱいの水を浴びせては

    ただのいやがらせになってしまいます

    体ごとびしょ濡れにしてほしいのに

    お猪口一杯だとしたら 悲しみしか残りません

    水自体に罪はありません

    どれだけの水を どのようにあげるか

    それがとても難しいのです

    もしあなたのとなりにいる人が

    水を頂戴と言ったなら

    どれだけの水を どのようにあげるか

    十分注意しましょう

    けれど 決して出し惜しみしてはいけません

    そんなことをしては

    あなたの泉もいつか枯れてしまうでしょう


    時々はっとするほど

    • 2016.09.17 Saturday
    • 17:47

    時々はっとするほど

    君の肩が逞しく広くなっていて

    嬉しいような切ないような気がします


    時々はっとするほど

    君の腕の筋が太くなっていて

    まるで初めて若い男を見たような驚きを覚えます


    時々はっとするほど

    君の眉毛や横顔が 君の父親に似てくるので

    辛いような寂しいような気がします


    この人とはこれ以上居られない
    そう思った人と
    私が生み育てた唯一のものが
    ずんずん似てくるという事は

    忘れるなよ
    お前のした事を
    風に乗って生きてきたような
    呑気な風情で歩くなよと

    時間が言っている気がします


    親であれ子であれ

    • 2016.09.15 Thursday
    • 23:31
    なんの事はない

    ただくたびれただけなのだ

    少しだけ背負わされた役割を果たすだけなのに

    見えないくらいの微さで 積もった塵が重くなり

    横になりたかっただけ

    親であれひしゃげる時はあるものだ

    なんの事はない

    腹が減ったから いつもの様に催促をしただけなのに

    虫の居所でも悪いのか

    今日はわめいて作らぬという

    子であれ一個の人間だ

    確かに何もしはせぬが

    不当に当たられたくはない

    下り坂の魂と上り坂の魂はお互い頑固で譲らない

    親子と言えど もう遠い

    15の心は掴めない

    結局作った夕飯はあっと言う間に無くなった

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